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英文和訳問題では意訳か直訳か?

英文和訳問題は何を求めているのか?

学生時代、英文和訳の問題を何度も解かされた方は多いと思いますが、その度に議論になるのが逐語訳(直訳)か意訳かということです。これは出題者側の意図によって変わってきますから、入試問題の作成者はそこのところをきちんと示すべきですが、ここでは一般的な議論を通して、英文和訳問題の適切な解答はどうあるべきかを示そうと思います。

 

そもそも、英文を和訳するときには①英文を読解し、その上で②対応する適切な日本語訳を記述するという2つのステップを踏みます。

 

意訳は、

英語→意味→日本語

というステップを踏みます。すると、以下のような例文に対して、

(a) Customers who do not have Special Cards cannot use the Lounge.

これは意味としては、

(b) The Lounge is for Special Card holders only.

と書き換えることもできそうです。

ですから、意味さえあっていればよいという考え方でいけば、「スペシャルカードをお持ちでないお客様はラウンジをご利用いただけません」と訳しても、「ラウンジはスペシャルカードをお持ちの方のみご利用いただけます」と訳してもよいことになってしまいますが、論理的な正確さや、本来のニュアンスを犠牲にしてしまっています。こうした言い換えは、職業的な翻訳など、極めて高度で実践的な場面で意味を持ってきますが、入試における英文和訳では不適切であると思われます。なぜなら、ただ意味さえ分かっていれば良いということであれば、選択式の長文読解問題で十分だからです。英文和訳を課すところの意味は、「意味」の読解そのものではなく、形式的な「構造」までも正確に把握しているかをみるところにあります。

 

入試において適切な英文和訳のステップは、

英語→意味、構造→日本語

というステップです。

英語には英語特有の思考的形式があり、これが文章の大きい構造の骨格となっていたり、熟語的表現の基盤となっています。したがってこれらをその英語的な意味的ニュアンスを正確に汲み取り日本語訳すれば、当然の帰結として、日本語としてはやや不自然な構成や表現を用いざるを得ない。それを了解した上で、英文の構造を優先する必要がある。こうした場面で日本語の運用能力を測ろうとするのはナンセンスだと思います。(もちろん、

This temple has been the symbol of dignity for hundreds of years in this country.

のような日本語とは相いれない語順を、

In this country, this temple, for hundreds of years, has been the symbol of dignity.

と書き換えて、「この国で、この寺院 は何百年も権威の象徴であり続けてきた。」と訳す程度の変更は必要ですが、これは二つの英文の間で「入れ替え」を行ったにすぎません。)